日曜日だと言うのに朝っぱらから塾でバイトでした。生徒さんも嫌にならないんですかね、少なくとも自分は嫌でした。朝の一番頭が回る時間帯に仕事するなんて……勤務開始30分前に飛び起きて、顔を洗って着替えただけの酷い状態で職場に行き、到着してから大慌てで髪の毛をまとめました。見た目はぼろぼろでしたが、頭はいつも以上に冴えていましたね、やはり朝は良い。
やる気で満ち溢れている時や何かに集中し切る直前の、ドキドキというかゾクゾクするような感覚を武者震いだと思っていたのですが、どうやら違ったようです。部活の大会に出ていたという生徒さんの話を受けて、同じくアルバイト講師の先輩と試合について話していたところ、試合前のドキドキともワクワクとも違うあの感情は何と言うべきかという話題になり、自分はこの感覚が武者震いだと思っていたので、勘違いを指摘されて恥ずかしくなりました。試合前のやる気満々で口角が上がってしまう感じとか、アドレナリンが止まらない時の全能感とか、あれは武者震いじゃなかったのか……緊張したときに手足が震えるのが武者震いだと言われました。そう考えてみると、バレーの試合で一本目のサーブを打つ時の手のむずかゆさは武者震いだったと言えそうです。このあとも緊張と震えについて先輩と話したのですが、そもそも私が緊張がどのようなものかをあまり理解していなかったという疑惑が浮上しました。
部活の試合や発表会は当然緊張するけど、提出期限ギリギリの課題に手をつけるときも緊張する、と先輩に伝えたところ、それ緊張とは違うのでは?と変な顔をされました。焦りと緊張を混同してないですか?と言われて考えたのですが、多分自分はいつもより心拍数が上がってドキドキしている状態のことを大雑把に「緊張」としていたのだと思います。絵を描くときも試合のときも、良い創作物を見たときも悔しくなったときも、総じて「緊張」していたと思っていたのですが、それぞれもっと適切に形容する言葉があったのかもしれない……もちろん、そこに緊張の感情も混じっていたのだとは思いますが、それが本質的な状態ではなかったのかもしれません。文学部にあるまじき言葉の意味の勘違いだ……
しかし、ドキドキのほとんどを緊張だと思っていた割には、自分が緊張に自覚的になったことは少ない気がします。試合のときも試験の直前も、何だかワクワクするというか、あり得ないくらい燃えるじゃないですか……最近は、絵を描くときや良い創作物を見たときに特に顕著にこうなります。これが一番最初に先輩と話していた、名前のわからん、燃え滾る楽しい感情。この感情は緊張の奥にあるような気がします。自分のドキドキは簡単に緊張を飛び越えてコレに変換されるので、緊張している自覚が無かったのかもしれません。本当はすぐ緊張する癖に……アドレナリンのせいで馬鹿になってるだけなんだと思いますが、それにしてもこの行き過ぎた負けん気みたいなの、何なんでしょうね……簡単に「対抗心」というのが一番わかりやすいだろうと思いました。今自分は、満足に絵が描けないためにフラストレーションが溜まりまくっているおり、目に入るすべてのものに威嚇してる状態なんですが、別に今だけが特別なわけではなく、前々からずっとこうだったような気もします。バレーしてる時も目に入るすべてのチームに闘志燃やしてたし、書道やってる人間すべてを睨みつけてたし、とにかく傲慢で喧嘩っ早い……しかし、特に怒っているわけでもないし脅したいわけでもありません。「楽しい」という感情が一番なんですけどね。
ゲームなんかに(酷い)こんなに感動させられてしまって悔しすぎる!としょうもないことで大号泣しましたが、それ以上に楽しいし、創り出すために動かし始めた手が止まらなくなります。他のことに感動したときも同じです。あのドキドキが止まらない興奮した状態のとき、自分の頭の中で物事がくっきり見えるようになる。凄いんですよ、何といえばいいのかわかんないけど……相変わらず頭の中はうるさいのですが、てんでばらばらのことを話していた声が無くなって、ちゃんと一つの方向に向かって話し合っている感じ。世界の解像度が一気に上がったような感じ。これをゾーンに入るとか言うのだろうか。バレーの試合のときには、ところどころでこういう時間があって、今ならやりたかったこと全部できるなと確信する瞬間があります。そして実際にそれができたとき、達成感というよりは「ほらね」みたいなニヤケが止まらなくなります。これを、絵でもやりたい。「ほらね」でニヤニヤしたい……絵に関しては、ゾーンに入っても失速してモヤモヤするのが毎回のオチなので、その先に行きたいですね。そのための基礎力よ。バレーも書道も、同じ空間にいる誰よりも基礎練をしてたし、基礎の大切さは熟知しているつもりです。いろいろやってきた経験(と言うほどでもないんですけど…)から思うに、自分はまず形から入って、そのものの輪郭をだいたい捉えられるようになってから、クソ長い基礎固め期間に実践の中で基礎のアウトプットをすることで、ようやく人並みに歩けるようになる気がするので、今は実践の繰り返しの時間なのだと思います。今は我慢の時間、静かにお絵描き頑張ります。